──先日2025年5月4日から5日にかけて行われた「篝火#13」。
今回も国内外から多くの選手が参加し、その規模も過去最大となった。
同時に、真剣勝負に挑む選手たちを彩る篝火のクリエイティブについても、初めて本格的なチーム体制での制作が始まり、挑戦を進めた回でもある。
このシリーズでは、全四回にわたって「篝火#13」のクリエイティブを作り上げてきたチームにインタビューを行い、制作の裏側を紐解いていく。
第一回は大会の顔となる「キービジュアル(以下KV)」について、アートディレクターを務めたフタガミハルキミさんに話を伺った。
インタビュイープロフィール
フタガミハルキミ
グラフィックデザイナー、キュレーター。富山県在住。
「篝火#11」からデザイナーとして制作に参戦。
普段は紙ものを中心に富山県内の案件を請けつつ、インターネットや音楽といったシーンでもデザインを請け負っている。
X(Twitter)
篝火#13におけるロールについて
Q1. 今回篝火の制作に加わった経緯、理由は?
これまで「篝火#11」、「篝火#12」とキービジュアルやOPまわりのグラフィックデザインでお手伝いさせていただいていて、ここまでたくさんの熱量が集約する現場ってなかなかない、引き続き参加したい!と思って参加しました。
Q2. 今回は何をおこなった/どのようなロールだった?やってみてどうだった?
主にKVを制作しました。今回のビジュアルの核になる要素を確定させるということで、クリエイティブのメンバーみんなで会議をしながらイメージを広げていくなかで、「瞬間・moments」というコンセプトから、「閃光」や「集中線」というワードがピックアップされ、それ以外の要素をなるべく削ぎ落とした形で今回のシンボルを作りました。
一瞬の輝きとそこに集結する熱量。多くの海外勢の参戦。そして篝火を表す「火」の漢字。それらすべてを落とし込んだシンボルが、たくさんのクリエイティブメンバーの手によって、篝火全体のクリエイティブへと展開していきました。
KVのデザインについて

Q1. 今回のキービジュアルのコンセプトは?
今回のキービジュアルのコンセプトは「閃光・きらめき」そして「集結と伝播」です。
2560人もの選手が勝利の一瞬のために集まり、それを支える篝火のスタッフたちも篝火という瞬間を目撃するために集まり、そこに集結したたくさんの熱量が光を放ち日本のみならず世界にも伝播していく……という、篝火の現在地を表すようなグラフィックになっています。
Q2. シンボルの着想はどのように得て、どのように形作っていった?他の案は?
上記のコンセプトが集約されているのが今回のシンボルです。
最初はシンプルに輝きを表したくて四つ角の星のモチーフを書いていたんですが、途中で「角を5つにしたら、漢字の火の要素も入れられるんじゃないか?」となり形が決定しました。そこから、「集結」を表すために集中線のようなベクトルを取り入れて、今の下に重心があるシェイプになりました。他にも、セグメントの長さをランダムにしたものや重心が上にあるものなど複数の案がありましたが、よりコンセプトが素直に形になっているものを選びました。
Q3. 背景はどのように考えていった?作り方は?
シンボルにコンセプトが集約されているので、背景は大きな主張がないようにしました。
これまでは3DCGが用いられることが多かったですが、今回は写真をもとに作っています。
暗幕をいろいろな形にたわませて、ピントをずらしながら撮影し、その後様々な工程を挟んであの背景が作られています。
模索しながら作っていく中で、暗幕が想像以上に炎や煙のような見え方になることに気づき、数パターン撮影し、別々の用途で使っていただきました。
Q4. 書体選びや、他に気にしたポイントは?
書体選びについては、事前に出ていたTrailerで使われていたAreaというフォントを引き続き使おうとは思っていました。しかし、シンボルが出来上がってくるとTrailerで使われていたウェイトだとギャップがありすぎるので、やや太めにして使いました。
文字の組み方については完全に手癖でやっているのですが、シンボルと文字のレイヤーが交差するような演出を他のグラフィックに展開するときにデザイナーのみんなが踏襲してくれていて、細かい部分ですがそういった部分で全体の統一感は出ていたのかなと思います。
Q5. 映像やグラフィックでの使われ方を見て感じたことはある?
映像やグラフィックでの使われ方についてはみなさんKVの読み取りが本当にうまくて、かゆいところに手が届くというか、「僕はここが痒かったんだ」とあとから気付かされるというか。様々な形に展開されていくことを想定しきれてはいないので、その形になったときに初めて「たしかにこういう形態ならこういう表現になるな」とびっくりさせられる感覚がありました。
クリエイティブを通して・当日を見て
Q1. 「篝火#13」を会場や配信で実際に見て感じたことは?
初現地、大熱狂、大感謝、です。
Q2. 今回のクリエイティブ制作はどうだった?今後の展望は?
全体の軸となる役割だったので、かなり緊張していたんですが、みんなのがんばりのお陰で良いものができて素直に嬉しく思っています。ただ、最初の段階でもっと細かい要素や展開していく中で使い勝手の良い素材などが提案できていれば、もっとみんながスムーズに動けたのかなと思います。
今後も、ぜひ篝火に関わり続けていたいと思っています。どんなかたちでも!
──次回はグラフィックデザインチームのKuroteiさん、ふぁーむさん、ツッペさん、しんぷるさん、いんざばんぶーさんから話を伺い、篝火のクリエイティブを紐解いていく。次回もお楽しみに。
コメント